なかなか調子が戻らない。最近の出来事が堪えているだけと言えばそうなのだろうが、最近はあらゆる感覚が昔よりも鈍っている感じがする。タバコを例に取ってみると、喫味は薄く感じるし、ニコチンのキック感も弱い。全体として美味しくないし芳しくない。そのくせニコチンを切らしたときの欠乏感は感じるから、まるで薬でも飲むかのようにタバコを吸っている。あるいはラーメンがそうだ。昔は一杯を食べきるまでパンチのある味わいを楽しんでいたのに、最近は一口目から「まあこんなものか」と思いながら食べている。食べ終わるころには一杯に費やした値段のことを考えている。楽しくない。自慰行為など最たるもので──これは恐らく薬の副作用もあるのだが──あの切迫したようなイニシエイションの感覚がない。まるで健康体操か何かを始めるかのように、アダルトビデオを再生して陰部に刺激を与えている。昔はよくあった、絶頂後の激しい後悔すらない。ただただ虚しい分析的態度がやってきて、そそくさと後始末をして元に戻る。こんな調子で何を楽しく生きたものかわからない。これでは現実もレヴェリーも何もあったものではない。苦しくも楽しくもなく、ただひたすら非感性化してベージュになった世界に対して、一体どんな思想を持てと言うのか?
ここにきて思うに、思想の条件はある種の不真面目さなのかもしれない。世界は私に対して強烈でなければならない、退屈な平和であってはならない、然らずんば私は世界を鮮烈にせねばならない、そういうエンゲイジメントがなされねばならない……。